医療従事者ミヤタの病気紹介ブログ

医学を学んでいる私が自らの勉学も兼ねて医療関係者以外の方にも分かりやすい様に話題の病気を紹介するブログ

飯田圭織さんの真珠腫性中耳炎は、進行すると難聴や顔面神経麻痺を起こす病気

こんばんは。元モーニング娘。飯田圭織さんがご自身のブログで真珠腫性中耳炎であることを告白されました。飯田さんによると、「右耳の聴力が落ちていて1日のほとんどの時間耳鳴りがなっている状況」だそうです。この真珠腫性中耳炎はどのような症状が出てどのような治療法があるのでしょうか。

真珠腫性中耳炎とは通常ピンと張っているはずの鼓膜の一部分が、奥に窪んでいって袋状となり、その中に垢がたまる病気です。鼓膜の表面は皮膚で覆われており、古くなるとその皮膚は剥がれ落ちます。正常の、張った状態の鼓膜だと剥がれ落ちた皮膚は耳垢として耳の外に出すことが可能です。しかし鼓膜が袋状になっていると剥がれた皮膚が外に出て来られず、塊となって蓄積されます。これが真珠腫の正体です。

この袋の内部は細菌などの絶好の繁殖場所となり感染を起こすことによって、耳の痛みや悪臭を伴う膿が出たり、耳が詰まったような感じになります。また真珠腫は耳の中で骨を破壊しながら増殖していき、難聴めまいも起こします。めまいは強い音や耳の穴を指で圧迫することで出現しやすいです。また、顔面神経管という神経の管が破壊されることで顔面神経麻痺が起こります。真珠腫性中耳炎を放置すると頭蓋内にも感染や炎症が及び生命が危険にさらされることもあります。

初期の真珠腫性中耳炎だと清掃や抗生物質等で対応できることもありますが、進行した例では多くの場合手術が必要となります。手術では骨を削って真珠腫を摘出し聴力の回復を図ります。真珠腫性中耳炎は進行すると命に係わることもあるので、上記の症状が出たときは早めに病院で治療を受けることが必要でしょう。

はんにゃ川島さん告白の腎臓癌で出る症状は?

こんばんは。最近、はんにゃ川島さんや小西博之さんが腎臓癌の治療を受けていたと告白し話題となっています。では、どのような症状が腎臓癌のサインなのでしょうか。

まず、腎臓癌は比較的高齢者に多く、男女比は2~3:1といわれています。しかし、川島さんは32歳で癌が発見されたということですし、若年者で癌にならないというわけではありませんし、定期検診が重要であるのは間違いありません。

症状は初期で出ることはまれですが、腎臓癌に特徴的であるのは血尿でしょう。癌が進行すると、腰や背中に痛みが出る、お腹の辺りにコブが出来るなどの症状が出ることもあります。他には体重減少、発熱、貧血、倦怠感なども起こります。

癌といえば怖いのは転移ですが、腎臓癌は肺>骨>肝臓に転移しやすいです。肺に転移すれば咳、血痰、呼吸困難などが出ます。骨に転移すれば痛み、病的な骨折、手足のしびれなどの症状が出ます。

腎臓癌は放射線抗癌剤などが効きにくいため、手術が最も有効な治療法となります。癌は他の臓器に転移が見られれば手術を行わないことが多いのですが、腎臓癌は手術が可能であれば腎臓の摘出を行い、転移している部分も摘出することが推奨されています。ちなみに腎臓は2つあるので1つ取ってしまっても残りの腎臓で十分機能を果たすことは可能です。

腎臓癌は早期に症状が出にくい癌ですが、尿に血が混じって出たときは病院を受診されることが、早期治療を始めるための第一歩でしょう。

O-157の後遺症、溶血性尿毒症症候群<HUS>とはどのような病気か

こんばんは。先日、堺市の25歳の女性が亡くなったとニュースになりました。小学生時に感染した腸管出血性大腸菌O-157の後遺症である溶血性尿毒症症候群<HUS>の腎性高血圧を原因とした脳出血が死因のようです。では溶血性尿毒症症候群とはどのような病気なのでしょうか。

溶血性尿毒症症候群の原因は腸管出血性大腸菌(特にO-157)が産生するVero(ベロ)毒素が主な原因とされています。腸管出血性大腸菌に感染後3~5日に急性胃腸炎として水溶性の下痢と激しい腹痛、粘血便が出るなどの症状が起こります。その3~7日後に1~10%の患者が①急激に腎臓の機能が低下する急性腎不全、②血液中の赤血球が破壊される溶血性貧血、③出血を止める働きをする血小板が減ってしまう血小板減少、を3徴とする溶血性尿毒症症候群と診断されます。今回の女性は腎臓の機能が悪くなって血圧を下げることができなくなってしまったのです。

溶血性尿毒症症候群にならないために腸管出血性大腸菌O-157の感染を予防することが大切ではないかと思います。感染源としては家畜、特に牛です。なので生肉はなるべく避け、加熱を十分にすることが必要でしょう。患者は子供や高齢者に多いのでこれらの方々は特に注意するべきです。

今回集団食中毒によりHUSに罹患された女性は亡くなってしまいました。食中毒になった方の中に慢性腎炎などで現在も治療や経過観察が必要な状態の方もいらっしゃいます。女性にはご冥福をお祈り申し上げ、現在治療中の方々の早い回復をお祈りします。

決して「甘え」ではない!うつ病は真面目な人ほどなりやすく、死ぬこともある病気

こんにちは。今日は最近増えているうつ病についてです。うつというと気持ちの問題だと思う方もいるかもしれません。しかしうつはれっきとした病気です。そして治療を行うことで治すことができます。うつ病とはどのような病気なのでしょうか。

うつ病では以下の症状がみられます。

抑うつ気分

 憂うつな気分がいつまでも続く、気分が沈み込む何をしても楽しめない、やる気が起こらないなどの状態になる。

②興味関心の低下

 趣味や興味があったことを一切やらなくなるなど物事に興味や関心が無くなる。

睡眠障害

 眠りの途中で目が覚める、早朝に目が覚める、熟睡感が無いなど。

④食欲不振/過食

⑤精神運動性の抑制/焦燥

 考えが浮かばなかったり、焦りがみられる。

⑥疲労感、気力減退

⑦思考力、集中力の減退

⑧無価値観/自責感

自殺念慮

これらの症状が2週間以上続いている場合は注意が必要です。上記の症状は日内変動があり、朝に強いことが多いです。朝、出勤が億劫になるのは日内変動があるからです。この中でも特に注意する必要があるのはやはり自殺です。うつ病が死ぬ病気であるのはこの為です。うつ病は真面目な人ほどかかりやすいです。頑張りすぎて、これ以上頑張れない状態になってしまうのでしょう。うつ発病の原因は辛い出来事や状態だけではありません。昇進などの通常喜ばしいことや、転居など環境の変化でもおきる可能性はあります。年度の変わり目は注意が必要でしょう。

 うつ病の治療は基本的に心理療法や精神療法、薬で行います。治療に大切なのは十分な心身の休養を行うことです。休養であって気分転換をするわけではないことに注意が必要です。また、うつ病の患者に頑張れなど励ますことはしてはいけませんうつ病の人はもうすでに頑張っており、これ以上頑張れといわれることに辛さを感じてしまうからです。治療中に注意しなければならないのは、治療を始めたころが一番自殺の可能性が高いということです。治療前の一番落ち込んでいる状態では自殺する元気もなかったのですが、治療により元気を取り戻し始めて自殺を考えるようになってしまうのです。自殺をしない約束を取り付けるのも有効です。元来真面目な方が多いですから約束を守ってくれることも多く、自殺の可能性を下げることができます。また、療養中に転職・離職、離婚など重大な決断はしないことも重要です。

 うつ病は目で見ることができず、他人には理解されにくい病気かもしれません。だからこそ周りの方々の気付きや支え、理解が大事です。このような症状の方が周りにいるときは精神科の受診を勧めてあげ、早期発見、早期治療につなげましょう。

厚生労働省発表のロキソニンの副作用、腸閉塞とはどのような病気か

こんにちは

 厚生労働省ロキソニンの副作用に腸閉塞(イレウス)が追加されたと発表され話題となっています。厚生労働省のサイトから一部引用しますと、

 

【医薬品名】ロキソプロフェンナトリウム水和物(経口剤)

【措置内容】以下のように使用上の注意を改めること。

[副作用]の「重大な副作用」の項に

「小腸・大腸の狭窄・閉塞:小腸・大腸の潰瘍に伴い、狭窄・閉塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、悪心・嘔吐、腹痛、腹部膨満等の症状が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。」

を追記する。

 

とのことです。このロキソニンという薬を飲んでいる方は非常に多いと思います。私も片頭痛持ちなので大変お世話になっています。この副作用が発表されたことによってネット上などでは、ロキソニンはとても怖い薬なのでもう飲むのを辞めようか、という声も聞かれます。本当にロキソニンを飲むことを辞めるべきなのでしょうか。そして腸閉塞とはどのような病気なのでしょうか。

 

腸閉塞は腸が何らかの原因で詰まってしまったり、腸の機能が悪くなり動かなくなってしまうことで起こります。今回のケースでは、厚生労働省の文面から察すると潰瘍が出来ることにより物理的に腸が詰まって起こるのでしょう。単に腸が詰まる種類の腸閉塞では、腸が詰まると徐々に腹痛が出てきます。また、吐き気が出て実際に吐くこともあります。そしておなかが張ってきて便や、ガスが出なくなります。そうなるともう病院に行かなければなりません。病院では、鼻からチューブを入れ、腸の中身を取り出してあげることで治療を行います。それに加えて点滴と抗生物質の薬を飲むことで手術をせずに治ることがほとんどです。

今回厚生労働省から発表がありましたが、私はロキソニンを飲むことは辞めません。確かに「重大な副作用」といわれるととても怖いものに聞こえます。しかし「重大な副作用」とは副作用が起きる確率が高いことを示す言葉ではないようです。元々、ロキソニンには胃や腸に潰瘍が出来るなど胃腸を荒らす副作用があり、空腹時に飲んではならないということは有名かと思います。胃薬とともに処方されるのはその為です。そのルールを守っていれば腸閉塞が起こる可能性は低いのではないでしょうか。

そもそも薬はリスクといわれ、副作用の出ない薬などありません。例えばロキソニンにも腸閉塞以外にも怖い副作用はあります。しかし、医師の処方を守り闇雲に薬に手を出さなければ副作用のリスクは減らすことができます。そしてもちろん少しでもおかしいと感じたらすぐに病院に行くことが大切です。よりよい生活の為にも薬と良いお付き合いをしていきたいですね。

いっこく堂さんを襲ったクモ膜下出血とは危険な病気なのか

今日はクモ膜下出血についてお話します。

腹話術師のいっこく堂さんが自宅で転倒し外傷性のくも膜下出血で入院されたと話題になっています。外傷性クモ膜下出血、そもそもクモ膜下出血とはいったいどのような病気なのでしょうか。

人間の脳と脊髄は皮膚、骨で覆われ、さらに髄膜と呼ばれる3層の膜によって包まれています。髄膜は外側から順に硬膜、クモ膜、軟膜から成り立っています。クモ膜と軟膜の間にある空間はクモ膜下腔といわれます。まとめると人間の頭は外側から「皮膚→頭蓋骨→硬膜→クモ膜→クモ膜下腔→軟膜→脳」となっています。クモ膜下出血は、何らかの原因によりクモ膜下腔に存在する血管が破れてしまうことにより起こります。つまり外傷性クモ膜下出血とは頭を打つなど外傷が原因でクモ膜下腔に出血が起こった状態のことです。

クモ膜下出血は40~60歳代に多く、男性よりも女性に起こりやすいです。喫煙や高血圧で起こりやすくなります。クモ膜下出血の原因の約80%は脳動脈瘤と呼ばれる血管にできたコブのようなもの破裂です。

クモ膜下出血が起こると、バットで殴られたような、これまで経験したことのない激しい痛みが突然起こります。痛みは激しくない場合もありますが、頭痛が「突然」出始めるということが重要です。また頭痛に付随して吐気や嘔吐、意識を失うこともあります。激しい痛みが出る前に比較的軽度な頭痛が突然起こる場合もあります。この頭痛は警告頭痛といわれます。

治療は重症度、年齢、合併症の有無などを総合的に判断して決定されますが、手術ができる場合は緊急手術を行うことになります。外傷性クモ膜下出血の場合は手術を行わず、安静にして経過を見ることが多いです。

クモ膜下出血は一般に、社会復帰できる患者、重度後遺症を残す患者、死亡する患者の割合がおよそ1/3ずつになる(1/3ルール)といわれるほど大変な病気です。突然頭痛が起こったときは軽度であっても警告頭痛の可能性もありますので早く病院に行き検査を受けることが大事です。また、定期的に脳ドックなどを受け脳血管の異常がないかを調べておき、もしも異常が見つかった場合はクモ膜下出血など重篤な状態になる前に予防をすることが大切です。

清原元選手の入院の原因糖尿病は身近に潜む危険な病気!

こんにちは。初めての投稿で糖尿病について語りたいと思います。

プロ野球選手の清原さんが覚醒剤の使用により逮捕・保釈され、現在は糖尿病の治療の為に入院していると話題になっています。糖尿病は生活習慣病とも言われ、なじみの深い病気なのではないかと思います。実は糖尿病には大まかに分けて1型と2型があり、生活習慣が関連するのは2型糖尿病といわれるものです。実際にはわかりませんが、おそらく清原さんも2型糖尿病ではないかと思います。ですので、今日は糖尿病の内でも2型糖尿病について知っていただけると幸いです。

 

人間は物を食べて血糖が増えると膵臓からインスリンというホルモンを出します。そしてそのインスリンが正常に働くことにより血糖が下がるという仕組みになっています。2型糖尿病は遺伝などによりインスリンの出が悪くなってしまったり、遺伝、肥満、過食、高脂肪食、運動不足、ストレス、加齢などによりインスリンが効きにくくなることにより起こります。なので2型糖尿病は生活習慣の悪い中年の方に起こりやすいのです。

2型糖尿病軽度の場合自覚症状がないことも多く、検診や他の病気の治療中に発見されることがあります。進行してくると喉や口が渇き飲み物をたくさん飲むようになり、それによって尿がたくさん出、夜寝ていると尿意で目が覚めるようになることもあります。他にも疲れを感じやすくなったり、体重が減ってきたりもします。糖尿病が怖いのはさらに進行すると目、腎臓、神経、血管など体の様々な所に病変が波及します。これらを合併症といいます。合併症が目におこると出血や網膜剥離がおこり、最悪の場合失明します。腎臓が悪くなると最終的に腎移植や人工透析をしなくならなければなります。神経が悪くなると温度や痛みを感じなくなり火傷やケガの原因となります。血管が悪くなると脳梗塞心筋梗塞になる危険性が上がります。足先などの神経や血管が悪くなると足が腐ってきてしまいます。また急激に血糖値が上がることによって意識を失いそのまま亡くなってしまうこともあります。このように糖尿病は治療をせずに放置していると大変なことになる怖い病気なのです。

2型糖尿病の治療は病態に合わせて行いますが、最も大事なのは血糖のコントロールを行うことです。そのためにはきちんとした食事をとり、運動をする、つまり生活習慣を改善することが治療の大前提となります。それに加えて薬を飲んだり、インスリンによる治療を行います。合併症があればもちろんその治療も行います。これは私が外来を見ているときに感じた個人的な感想ですが、2型糖尿病の患者さんには自己管理な苦手な方が多い印象があります。なので治療には家族の方や友人の方など周りの協力が必要でしょう。

清原さんの血糖値は900mg/dLあったと言われています。糖尿病と診断されるのが126mg/dL以上(空腹時)ですので、本当であればかなり重症な状態かもしれませんね。覚醒剤離脱症状とも戦わなければなりませんし治療は本当に大変かと思います。しかししっかりと治療を行い、いつか野球界に戻ってきてほしいですね。