医療従事者ミヤタの病気紹介ブログ

医学を学んでいる私が自らの勉学も兼ねて医療関係者以外の方にも分かりやすい様に話題の病気を紹介するブログ

玉置浩二さんが緊急入院した大腸憩室炎は文字通り大腸にできた”部屋”に炎症が起こる病気

こんにちは。歌手の玉置浩二さんが大腸の憩室炎により緊急入院したと話題になっています。この憩室炎とはどのような病気なのでしょうか。

まず、憩室は「けいしつ」と読み、大腸などの管のような形をしている消化管の壁に文字通り部屋のようなものができます。憩室は、炎症などにより消化管の壁が引っ張られたり(牽引性)、消化管の内側から圧力がかかって壁が押し出される(圧出性)ことによって出来ます。生まれつき憩室があることもあります(これをMeckel憩室といいます)。憩室はあるだけでは無症状のことが多いですが、憩室が多発したり、炎症・出血を起こしたりすることで様々な症状が現れます。憩室に炎症が起こると憩室炎と呼ばれる状態になります。憩室ができる頻度は場所によって異なり、大腸憩室>十二指腸憩室>Meckel憩室となっています。玉置さんは以前から大腸にできていた憩室に炎症が起きたといわれています。

大腸憩室炎は、憩室の中が糞便などで満たされ、内部で細菌が増殖することで憩室の周囲に炎症が生じ起こります。中年~高齢者、普段から便秘気味の人がなりやすいです。典型的な症状として、腹痛、圧痛(押すと痛む)、軽度の発熱が見られます。ほとんどの場合が軽症で、抗菌薬や絶食などによって軽快します。しかし、化膿したり、消化管に穴いたりする重症例では、緊急手術で治療することになります。治療後も、約25%の人に再発が見られるため、再発防止のために高繊維食と便通のコントロールをすることが大切になります。

今回玉置浩二さんは、入院し抗菌薬と食事制限、安静によって治療されているということで、おそらく命に別状はない軽症だったのではないかと思われます。早く復帰していただきまた歌声を聴かせていただきたいですね。