医療従事者ミヤタの病気紹介ブログ

医学を学んでいる私が自らの勉学も兼ねて医療関係者以外の方にも分かりやすい様に話題の病気を紹介するブログ

徳永英明さんのもやもや病は日本人が発見した日本人に多い病気

徳永英明さんがもやもや病から復帰後初めてイベントを行ったと話題になっています。この聞きなれない病名もやもや病とはどのような病気なのでしょうか。

脳に栄養を送る内頚動脈という太い動脈が徐々に細くなり詰まっていき脳への血流が不足し、その不足した血液を補うように周りから細い血管が発達する病気です。血管が詰まる原因は分かっていません。この病気は日本人により発見され、発達した血管が「もやもや」した煙草の煙の様に見えることから、「もやもや病」の名前がつけられました。ちなみにこのもやもや病は英語名でmoyamoya diseaseといいます。このもやもや血管では脳血流が不十分であるため、脳に行く血が足りなくなったり、もやもや血管は脆弱であるため破綻しやすく脳出血が生じたりします。

もやもや病は10歳以下の小児や、30~40歳代の成人に好発します。小児では熱い麺類をふーふー吹き冷ました時、フルートなど楽器を演奏した時、激しく泣くなどの後、一過性の脱力や片麻痺、けいれん、意識障害などが起こります。成人では約半数が脳出血で発症します。残りは小児の場合と同じような症状です。脳出血の症状は、意識障害や頭痛、麻痺などで、緊急に治療が必要となります。

脳の血流の不足を解消するために手術による治療を行います。詰まった太い血管の血流を回復させる治療法はありません。また、脳の血流は低下していても、頭蓋骨の外側で頭皮の下の血流は良好に保たれています。ここを走行する血管を浅側頭動脈といいます。そこで、頭蓋骨を開け、脳の表面の中大脳動脈と呼ばれる血管の末梢に頭蓋骨の外側からその浅側頭動脈をつなげて血流を増やし、もやもや血管の負担を軽減させる手術を行います。成人のもやもや病の場合再出血をきたしやすいので、一度手術をした後も血管に負担をかけないような生活を心掛けることが必要でしょう。