医療従事者ミヤタの病気紹介ブログ

医学を学んでいる私が自らの勉学も兼ねて医療関係者以外の方にも分かりやすい様に話題の病気を紹介するブログ

熊本地震など、災害現場で行われるトリアージとは何か

 

こんばんは。昨夜熊本県で大規模な地震が起こり、被害が出ています。けが人が続々と運び込まれた病院では、地震の影響で万全の態勢をとれないまま、懸命の対応が続いたようです。ニュースでは現地や病院でトリアージが行われていると報道されていました。この、被災地で行われるトリアージとは一体どういったものなのでしょうか。

人材と資材が圧倒的に制約される集団災害の現場において、多数の傷病者を短時間に重症度、緊急度、病院の医療能力などから判断・分類し、誰を優先的に搬送や治療するかを決定することをトリアージといいます。トリアージtriageはフランス語の(コーヒー豆を)選別するという語が由来の様です。傷病者の重症度を選別した後、傷病者にトリアージタッグと呼ばれる識別票を付けていきます。タッグの色は4種類あり、の順に重症となります。具体的には、緑は歩行が可能であり軽症で搬送が必要のない人、黄と赤は歩行が不可能であり、その中でも黄は生命が脅かされるほど重症ではないが搬送が必要な人、赤は生命を脅かされる重篤な状態で、救命の可能性がある人となっています。黒は亡くなってしまった人やその状況では救命が難しいと判断された人に付けられます。搬送される順番は、の順になります。当然トリアージの色は現地の状況などにより変わることがあります。

熊本では高齢者が多く入院する病院で、停電や給水タンクの破損で患者の転院を余儀なくされ、看護師や自衛隊員らが手を引き、寝たきりや車いすの患者さん約180人を車に分乗させ、約8キロ離れた県立高校体育館まで一時搬送したという事例もあるようです。今回の地震で被害にあわれた方の無事を願いますし、一刻も早い復興をお祈り申し上げます。